インフルエンザの季節がやってきましたね。毎年「注射が怖い…」と泣き顔になるお子さん、実は少なくありません。
そんな方に朗報!「フルミスト」という、注射いらずで鼻から吸うタイプのインフルエンザワクチンがあるんです。
「これって普通のインフルワクチンと何が違うの?」「効果あるの?」といった疑問にお答えしつつ、最新の情報をやさしく解説していきます。
痛くないだけじゃない、フルミストの魅力と注意点を知って、正しい選択をしていきましょう。
目次
- フルミストってなに?従来ワクチンとの基本的な違い
- フルミストのメリットとデメリット
- どんな人に向いてる?接種対象と注意すべきケース
- よくある質問と誤解を解説|安全性・効果・費用の疑問に回答
- 【まとめ】インフル予防の選択肢としてフルミストを考える
1. フルミストってなに?従来ワクチンとの基本的な違い
インフルエンザワクチンには大きく分けて「注射タイプ(不活化ワクチン)」と「経鼻スプレータイプ(フルミスト)」の2種類があります。
従来、日本では注射タイプが主流でしたが、2024年からフルミストが正式に日本でも使えるようになり注目を集めています。
従来の注射タイプはウイルスの一部を使った「不活化ワクチン」で、主に血中の抗体を作り、感染リスクを下げます。
一方、フルミストは「生ワクチン」であり、鼻の中に噴霧し体内で自然に免疫をつける方式です。鼻や喉の粘膜に働きかけて「IgA抗体」を生成します。
これは、インフルエンザが最初に感染する「呼吸器の入り口」でウイルスをブロックする働きがあり、特に2〜7歳の子どもでは予防効果が高いとされています。
ただし、フルミストは鼻から吸引するので「鼻炎がひどいとき」などには適さない場合もあります。
次の章では、フルミストならではのメリットや注意点について詳しく解説していきます。
2. フルミストのメリットとデメリット
メリット
1番のメリットはなんといっても「痛くない」ことです。注射が苦手な方にとっては心理的なハードルがグッと下がります。
そしてもう一つの大きな利点が、「効果の持続性」です。従来の注射ワクチンは主に血中の免疫を強化するのに対し、フルミストは感染経路となる粘膜からウイルスを防ぐため、より自然に近い形で免疫が働くとされています。
さらに、13歳未満では注射は2回必要なのに対し、フルミストは1回で済むというのも大きなポイントです。
デメリット
フルミストには多くの利点があるとはいえ、注意点もあります。
- 喘息のある子どもには使用できない場合があります。
- 妊娠中の方や授乳中の方も注意が必要です。
- 生ワクチンなので、接種後しばらくは免疫が弱っている人との接触を避ける必要があります。
また、費用についても、フルミストは自費扱いで約9,000〜10,000円前後と、注射より高めです。
自治体によっては助成がある場合もあるので、事前に確認が必要です。
3. どんな人に向いてる?接種対象と注意すべきケース
フルミストは「魔法のワクチン」のように思えるかもしれませんが、すべての人に適しているわけではありません。
フルミストは含有成分に精製ゼラチンがあるので、ゼラチンアレルギーを起こす可能性があります。
妊娠出産が可能な年齢の女性は約1か月間避妊した後接種し、接種後は約2か月間は避妊する必要があります。
授乳婦が接種した場合には、接種後1〜2週間は子どもとできるだけ接しないように注意する必要があります。
- 喘息のある方
- 免疫力が著しく低下している方
- 妊婦および授乳中の方
- 重度のアレルギー(特にゼラチンアレルギー)のある方
- 家族や同居人に免疫不全の方がいる場合
また、生ワクチンという性質上、接種後1〜2週間は激しい運動やプールなどの行動を控えることが勧められます。鼻からの吸引式なので、接種時に鼻づまりがあると効果が出にくいという点も注意が必要です。
東京新宿RENA CLINICでは、医師がしっかりと問診を行い、フルミストが適しているかどうかを判断いたします。お気軽にご相談ください。
4. よくある質問
Q1:生ワクチンって危険じゃないの?
→いいえ。フルミストに使われるウイルスは「弱毒化」されており、感染性は極めて低いです。海外では何年も前から使用されており、安全性は確立されています。
Q2:鼻から入れるワクチンって、本当に効果あるの?
→あります。むしろ自然感染に近い免疫の付き方をするため、呼吸器の粘膜レベルでしっかりブロックしてくれるのが強みです。
Q3:費用はどれくらい?保険は使える?
→基本的に自費扱いで、9,000〜10,000円ほど。自治体によっては助成が出る場合がありますが、全額自己負担の場合が多いです。
Q4:同じ年にフルミストと注射を併用してもいいの?
→通常はどちらか1種類で十分です。併用の必要はありません。
Q5:接種当日に風邪気味だったら?
→発熱やひどい鼻詰まりがある場合は延期をおすすめします。医師と相談のうえ、最適なタイミングで接種しましょう。
5. まとめ
フルミストは、注射が苦手な方にとって画期的な選択肢です。鼻からスプレーするだけで、自然な形で免疫をつけられるこのワクチンは、特に小さなお子さまにとって非常に有効です。
ただし、使用できる年齢や健康状態に制限があるため、全員に向いているわけではありません。大切なのは、自分やご家族に合った予防法を見つけることです。
東京新宿レナクリニックでは、丁寧な問診と最新の知見をもとに、最適なワクチン選択をお手伝いしています。お気軽にご相談ください。
- 監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。 青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、 日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2024年東京新宿RENA CLINIC開院。
参考文献
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