「え、同じような検査が二つもあるの?どっちを選べばいいの?」と迷ったことはありませんか?
お腹が痛い、胃の調子が悪い…そんな時、検査の選択肢として出てくるのが「CT検査」と「内視鏡検査」。これら検査には根本的な違いがあり、症状や治療方針によって向き不向きがあります。例えば、体の“外側から見る”検査と、“直接中を覗く”検査では得られる情報も変わります。今回は、両者の違いを、分かりやすく、かつ具体的にご説明します。じっくり読んで、自分の体調と照らし合わせながら「どちらが自分に合ってるのか」を考えてみましょう。
目次
- CT検査とは?その仕組みと特徴
- 内視鏡検査とは?しくみとメリット・デメリット
- CT検査 vs 内視鏡検査:どちらをいつ選ぶべきか
- 検査を受ける前に知っておきたい注意点と準備
- まとめ
1. CT検査とは?その仕組みと特徴
まずは「 CT検査(コンピュータ断層撮影)」についてご説明します。CT検査は、X線を使って体を輪切り(断層)に画像化する技術で、身体の内部構造を比較的短時間で詳しく観察できるのが大きな特徴です。例えば、腹部・胸部・頭部などの臓器や構造物の「外側からの構造的変化」を把握するのに向いています。
CT検査のメリットとして挙げられるのは、

・準備が比較的少ない
・検査時間が短くて済む
・痛みがほとんどない
という点です。
造影剤を使用する場合にはアレルギーや腎機能の検討が必要ですが、通常は鎮静や内視鏡のような「管を挿入しての検査」ほどの侵襲性はありません。
一方で、CT検査の限界・デメリットも知っておくべきです。まず、X線による被曝があります。特に造影剤を使う場合にはその副作用(造影剤アレルギー、腎機能低下リスクなど)が伴います。
また、CTでは「臓器の内部構造」や「壁の内面(粘膜)そのもの」の詳細な診断には向かない場合があります。たとえば、胃や腸の粘膜表面にできた小さな変化やポリープ、初期の炎症や粘膜病変は、CTでは見逃す可能性があります。
まとめると、CT検査は「体を外側から俯瞰して見る検査」であり、比較的簡便に実施できる反面、粘膜レベル・治療介入を伴う検査としては限界があります。
2. 内視鏡検査とは?しくみとメリット・デメリット
次に「 内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)」について解説します。内視鏡検査は、鼻・口や肛門から柔軟なチューブ状のスコープを挿入して、消化管の粘膜面を直接観察する検査です。カメラと光源がついていて、リアルタイムで視覚的に病変を捉えられるのが最大の強みです。粘膜表面の状態、ポリープ・潰瘍・炎症・腫瘍などを非常に精細に観察できます。
内視鏡検査の利点は、単に観察だけでなく「生検(組織を取る)」「ポリープ切除」「止血処置」などの治療介入がその場で可能な点です。つまり、「診断+治療」を同時に行うことができます。粘膜レベルまで評価できるため、早期病変を発見する精度は高いと言われています。
ただし、内視鏡検査にも注意すべき点があります。まず、検査前に絶食や下剤による腸管洗浄などの準備が必要な場合があるため、検査当日の負担がCTよりも大きいことがあります。また、スコープ挿入や鎮静の必要性があること、穿孔(器具が壁を突き破る)や出血といった稀ですが重大な合併症リスクも伴います。
また、検査時間・体の負荷・麻酔・苦痛などを考慮する必要があります。検査中・検査後に喉の違和感・ガス・腹部膨満感などが出ることもあります。
つまり、内視鏡検査は「内部から直接粘膜レベルまで見る検査」であり、病変発見・治療可能という点で非常に価値がありますが、準備・侵襲・リスクという面でCTに比べて多少ハードルがある、と言えます。
3. CT検査 vs 内視鏡検査:どちらをいつ選ぶべきか
さて、ここが重要な「検査の選び方」です。どちらが優れているか、ではなく、「どんな状況でCT検査が適していて、どんな状況で内視鏡検査を選ぶべきか」を整理します。東京新宿RENA CLINICでは、次のような観点からご案内しています。
(1) 症状・目的による選択
- 例えば、腹部全体の構造異常(腫瘍の有無、臓器の位置や大きさ、リンパ節の腫れ、出血・炎症の広がりなど)をまず“ざっと把握”したい場合、CT検査が向いています。
- 一方、胃・腸・食道などの粘膜に「小さな炎症・潰瘍・ポリープ・出血源」が疑われる場合には、内視鏡検査を優先すべきです。
(2) リスク・侵襲・準備の観点
- CT検査は鎮静不要・検査時間も短め・準備も比較的簡単ですが、放射線被曝・造影剤リスクがあります。
- 内視鏡検査は侵襲性がやや高く、鎮静・絶食・検査後の休息などの考慮が必要ですが、直接“観察・治療”ができる強みがあります。

(3) 検査後の対応・治療可能性
- CT検査で異常を見つけた場合、次に内視鏡検査や生検などへ進む“橋渡し”的な役割になることも多いです。
- 内視鏡検査では、たとえばポリープ切除・止血など、検査と治療を同時に行える可能性があります。
(4) 当院での実践的な考え方
- 初回検査で症状が軽く、構造的異常が疑われるが具体的病変が不明な場合 → まずはCT検査で結果を確認
- 胃もたれ・胸やけ・出血傾向・家族歴あり・検査目的が明確な場合 → 内視鏡検査を推奨
- また、複数のリスク(出血・腫瘍疑い・全身状態)を抱える場合は、両者を組み合わせて検査する戦略もあります。
このように、CT検査と内視鏡検査を“どちらか一方”としてではなく、“目的・状況に応じて使い分ける”ことが肝心です。
4. 検査を受ける前に知っておきたい注意点と準備
検査を受ける前には、知っておきたいポイントがあります。ここでは、CT検査・内視鏡検査それぞれに共通する注意点および準備を整理します。
共通の注意点
- 検査前に服用中の薬、アレルギー・腎機能の有無、過去の検査履歴などを担当医に伝えておくことが重要です。
- 検査後に異変(出血・激痛・アレルギー反応など)が出た場合、速やかに連絡できる体制を確保しておくことが望ましいです。
CT検査の準備・注意点
- 造影剤を用いる場合、事前に腎機能やアレルギー歴、脱水状態についてチェックがあります。
- 被曝の観点から、妊娠している可能性がある方は必ず申告してください。
- 前日の飲食制限や水分補給の指示がある場合がありますので、指示に従いましょう。
内視鏡検査の準備・注意点
- 検査前には絶食時間が必要です。胃カメラでは数時間、下部内視鏡では絶食に加えて腸管洗浄液での準備が必要です。
- 鎮静を使う場合、検査後に車の運転や機械操作は禁止されることがあります。帰宅手段の確保が必要です。
- 検査中・検査後に喉の違和感・腹部膨満感・軽い出血(特に生検やポリープ切除後)を感じることがあります。通常は軽度ですが、異常を感じたらご相談下さい。
- 検査前に内服中薬(抗血小板薬・抗凝固薬など)がある場合、休薬の指示が出ることがあります。担当医と相談してください。
このような準備と注意を踏まえて検査を受けることで、検査をスムーズかつ安全に進めることができます。東京新宿RENACLINICでは、検査前の説明や準備も丁寧にサポートしておりますので、ご安心ください。
まとめ
「CT検査」と「内視鏡検査」には、それぞれ得意な分野・特徴・注意点があり、どちらが“優れている”というわけではなく「どんな状況で使うべきか」が鍵です。CT検査は構造を広く俯瞰し、比較的簡便に実施できる検査。一方、内視鏡検査は粘膜レベルを直接観察・治療まで可能な検査です。症状の内容・検査目的・体の状態を踏まえて、最適な検査を選びましょう。もし「どっちを受けるべきか迷う」という場合には、ぜひご相談ください。東京新宿レナクリニックでは、症状に応じた最適な検査プランをご提案しています。安心してご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。 青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、 日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2024年東京新宿RENA CLINIC開院。
参考文献
- Yang HK et al., Diagnostic performance of CT versus endoscopic ultrasound for gastric subepithelial tumors – Radiology. (Note: full citation details omitted)
- The diagnostic accuracy of triphasic abdominal CT in detecting esophageal varices – BMC Medical Imaging.
- A review of endoscopy quality indicators in upper gastrointestinal cancer detection – Endoscopy (Thieme-Connect).
- Diagnostic utility of CT angiography compared with endoscopy in patients with acute GI hemorrhage – Journal of Gastroenterology (PubMed)

