「胸やけ」と感じる症状は、多くの人が日常的に経験する胃の不快感ですが、その背景にはさまざまな病気が隠れていることがあります。ただの胃酸逆流や胃炎であれば生活習慣の改善や薬で症状が軽くなる場合が多い一方で、胃がんの初期でも胸やけのような症状が出ることがあります。 胸やけだけでは、どの病気が原因か判断するのは難しく、症状の持続・頻度・伴う症状を見極めることが重要です。この記事では、胸やけの主な原因である胃炎・胃酸逆流と、より注意が必要な胃がんとの違いのポイント・症状の見分け方・受診の目安を詳しく解説します。自分の症状を正しく理解し、必要な対処につなげましょう。
目次
1. 胸やけの基本:何が起こっているの?
胸やけは、一般的に みぞおちや胸の奥が焼けるような不快感やヒリヒリ感 を指します。多くの場合、この感覚は胃酸が食道側へ逆流することによって食道粘膜が刺激されるために起こります。医学的には胃食道逆流症や逆流性食道炎と呼ばれる状態が代表的です。胃と食道の境目にある括約筋がうまく機能せず、胃酸が逆流しやすいと胸やけが起きやすくなります。
胸やけの典型的な誘因は、食後すぐ横になる・脂っこい食事・刺激物・カフェイン・アルコール などで、こうした要因があると胸やけが起きやすくなります。また、喫煙や肥満、加齢による括約筋の機能低下も胸やけのリスクファクターです。
胸やけ自体は、胃酸が食道粘膜に触れることで起こる炎症反応のようなもので、多くの人が一過性に経験しますが、「頻繁に起きる・改善しない」場合は病的な状態が疑われます。
胸やけを感じたら、まずは生活習慣の見直しや薬による対症療法を試みることが一般的です。しかし、胸やけは単なる胃の不調にとどまらず、深刻な疾患が隠れていることもあるため、症状のパターンや持続性をしっかり評価することが大切です。
2. 胃炎・胃酸逆流による胸やけの特徴
胃炎や胃酸逆流は、胸やけの最も一般的な原因です。胃炎 は胃の粘膜に炎症が起きている状態で、原因としてはピロリ菌感染や薬剤(NSAIDs)の副作用、過度の飲酒やストレスなどが挙げられます。慢性的な胃炎では、胃の粘膜が薄くなりやすく、胸やけだけでなくみぞおちの痛み・吐き気・食欲不振なども伴うことが多いです。
一方、胃酸逆流(胃食道逆流症や逆流性食道炎など) は胃酸が食道に逆流しやすくなることで起こります。胸やけに加えて、酸っぱい液体が口に上がってくる・呑酸・咳・声がれ などの症状を伴うことがあり、食後や横になると症状が悪化する傾向があります。
ほとんどの胃炎や逆流性食道炎は、生活習慣の改善(食事の調整・体重管理・就寝前の時間管理)と薬物療法(胃酸分泌抑制薬や粘膜保護薬)によって症状が改善します。ただし、症状が頻繁に起こる場合や悪化する場合は医師の診察が必要です。
日常的な胸やけは胃炎や逆流性の症状と考えるのが一般的ですが、これらは薬や生活改善で比較的短期間に改善することが多いという特徴があります。改善が見られない場合は次の章のような他の病気を考える必要があります。
3. 胃がんが胸やけとして現れることもある?
胸やけは基本的には胃酸逆流や胃炎が原因ですが、胃がんが隠れている場合にも類似の不快感や胸やけが現れることがあります。 胃がんの初期症状は非常に微妙で、胸やけだけを感じることもあり、症状だけでは区別がつかないことも珍しくありません。
胃がんの初期には自覚症状がほとんどない場合が多いものの、進行すると 胸やけ・みぞおちの不快感・食後の早期満腹感・吐き気・嘔吐・黒い便(出血の可能性)・体重減少 などが見られることがあります。これらの症状は胃粘膜が腫瘍によって障害されることによるものです。特に注意したいのは、 胸やけが長期間続く・薬や生活改善で改善しない・体重が減る・食欲が低下する などのサインです。こうした場合は胃がんや他の重大な疾患を除外するために、早めに医療機関で検査(胃カメラなど)を受けることが推奨されています。
胃がんのリスク要因としては、ピロリ菌感染・喫煙・高齢・食生活(塩分の多い食事など) が挙げられます。胸やけがあるからといって必ずがんであるわけではありませんが、 症状が持続する場合は見逃さずに検査を受けることが重要 です。
東京新宿RENA CLINICでは、患者さん一人ひとりに合わせた最適な診療を行っています。気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。
4. 胸やけ以外に注意したいサイン
胸やけだけでなく、以下のような付随症状がある場合は注意が必要です
- 食後すぐ強い不快感が続く
- 体重減少や食欲不振
- 黒い便・血を吐く
- 持続的な嘔吐や吐き気
- 夜間や横になると悪化する胸の痛み
これらは単なる胃酸逆流だけでは説明しにくい症状で、消化器の他の疾患(胃潰瘍・胃がん・食道がんなど) も視野に入れて評価する必要があります。
また、胸やけに伴う 咳や声のかすれ は、胃酸が食道上部や喉まで逆流している可能性があり、逆流性食道炎の特徴的な症状です。こちらも慢性的に続く場合は医師の診察が大切です。胸やけの原因は多岐にわたりますが、症状の持続期間・頻度・生活改善に対する反応 を観察することが見極めのポイントになります。一般的には胃炎や逆流性食道炎であれば適切な治療で改善することが多いですが、改善しない場合は専門的な検査が必要です。
5. 受診・検査のタイミングと見極め方
胸やけが続く場合、自己判断せず専門医の診察を受けることが大切です。特に以下のような場合はすぐに受診を検討しましょう

- 胸やけが週に2回以上続く
- 生活改善・市販薬で改善しない
- 体重減少や食欲不振がある
- 血便・黒い便・吐血が見られる
- 飲み込みにくさや持続的な痛みがある
これらは、胃炎や逆流性食道炎だけではなく、胃がんや食道がんなどの重大疾患の可能性を示すサインでもあります。胃がんは早期発見が治療成功の鍵であり、症状が軽くても検査で確認することが重要です。
検査としては 胃カメラ(上部内視鏡) が最も有効で、胃や食道の粘膜を直接観察し、必要に応じて組織を採取して病理検査を行うことで確定診断が可能です。また、 ピロリ菌検査 も胃がんリスク評価として有用であり、除菌療法によって将来の病気発症リスクを下げることができます。
東京新宿レナクリニックでは、胸やけの原因を丁寧に評価し、必要な検査と治療をご提案します。症状に不安がある方は、早めにご相談ください。東京新宿RENA CLINICでは、患者さん一人ひとりに合わせた最適な診療を行っています。
まとめ
胸やけは多くの人が経験する症状ですが、多くは胃酸逆流や胃炎が原因 であり、生活習慣改善や薬で改善することが多いです。しかし、症状が長引く・生活改善で改善しない・体重減少や黒い便などのサインがある場合、胃がんや他の重大疾患の可能性も見逃せません。 症状の持続や伴う症状を観察し、必要な検査を受けることが大切です。東京新宿レナクリニックでは、症状の背景を丁寧に評価し、適切な診断と治療を提供します。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。 青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、 日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2024年東京新宿RENA CLINIC開院。
参考文献
Gastroesophageal Reflux Disease: Pathophysiology and Management — Vakil N, その他, The New England Journal of Medicine
Diagnosis and management of dyspepsia and heartburn — Talley NJ, その他, The Lancet
Helicobacter pylori infection and gastric cancer: Evidence and management — Polk DB, その他, Journal of Clinical Investigation


