突然の腹痛は誰にでも起こりうるものですが、中でも虫垂炎は「急な右下腹部痛」で知られる病気です。俗に「盲腸」とも言われますが、実際には虫垂炎と言います。子どもから大人まで発症する可能性があり、放置すると炎症が進んで腹膜炎など重い合併症に繋がることもあるため、早めの診断・治療が重要です。まずは虫垂炎の基本から見ていきましょう。
目次
- 虫垂炎とはどんな病気?
- 虫垂炎の原因・しくみ
- 虫垂炎の典型的な症状
- どんな検査でわかる? 診断方法
- 虫垂炎の治療〜手術とそれ以外〜
- まとめ:まずは早めの受診を
1. 虫垂炎とはどんな病気?
虫垂炎は、盲腸にくっついている「虫垂」という細長い袋状の部分が炎症を起こす病気です。正式な略語は虫垂炎ですが、古くから「盲腸」と呼ばれることもあり、一般的にもよく知られています。虫垂そのものが何の役割を果たしているのかは完全には解明されていませんが、免疫に関わるリンパ組織が含まれていると考えられています。
虫垂は大腸の入り口に位置しており、通常は食物の通過や消化に直接関与しません。しかし、何らかの原因で虫垂の内部が細菌感染や閉塞によって炎症を起こすと、急な腹痛・発熱・食欲不振などの症状が現れます。炎症が進行すると虫垂が破裂して中の内容物が腹腔内に漏れ、周囲の腹膜に炎症が広がる「腹膜炎」や膿がたまる「虫垂膿瘍」といった重篤な状態になることもあります。
虫垂炎は年齢に関係なく起こりますが、10〜30代に多い傾向があります。また、初期症状は胃腸炎や食あたりに似ていて誤診されることもあります。症状の進行が早い場合もあるため、疑わしい場合は放置せずに専門医の診察を受けることが大切です。
2. 虫垂炎の原因・しくみ
虫垂炎の原因は一つではありませんが、主に虫垂内部の出口が塞がれることから始まると考えられています。出口が塞がると、内部に細菌が繁殖しやすくなって炎症が進みます。
① 粘膜のリンパ組織が腫れる
風邪や感染症などの全身性の炎症で、虫垂内のリンパ組織が腫れて出口が狭くなることがあります。これにより中の内容物や粘液が滞留し、細菌が増殖する原因になります。
② 糞石(ふんせき)による閉塞
消化されない食物残渣が硬くなって虫垂入口を物理的に塞ぎ、細菌感染を起こすケースがあります。これを「糞石」といい、虫垂炎の原因としてよく挙げられています。
③ 生理的な要因
特に子どもや若年者ではリンパ組織の発達や免疫反応が影響しやすく、虫垂炎を起こしやすいと考えられています。
炎症が進むと虫垂壁が弱くなり、破裂のリスクが高まります。この状態で腹膜炎が起きると、腹腔全体に炎症が波及し、発熱・激しい痛み・ショック状態になることもあります。
したがって、初期段階での診断と治療がとても重要です。
3. 虫垂炎の典型的な症状
虫垂炎は、初期症状が漠然とした胃腸炎や食あたりと似ているため、自分で判別が難しいことがあります。ですが、特徴的な症状の進行パターンがあります。
① 腹痛(右下腹部)
初めはみぞおちやへその周囲に鈍い痛みが出て、その後右下腹部へ移動するのが典型的です。痛みは時間とともに強くなる傾向があります。
② 吐き気・嘔吐
痛みとともに吐き気や嘔吐を伴うことがよくあります。痛みが強い場合、食欲が低下するのも特徴です。
③ 発熱
微熱〜高熱が出ることがあります。炎症の程度に応じて体温が上がります。
④ 痛みの変化
歩く、咳をする、体を動かすと痛みが悪化することがあり、安静にしている時にやや和らぐことがあります。
ただし、すべてのケースで典型的な症状がそろうわけではなく、高齢者や子ども、妊婦では症状が 典型的でない場合もあります。腹痛を感じたら、できるだけ早く医療機関へ相談することが大切です。
4. どんな検査でわかる? 診断方法
虫垂炎を診断するためには、いくつかの検査が組み合わせて行われます。
① 問診・身体診察
まず、腹痛の場所や痛みの動き、発熱の有無などを伺い、腹部を押した時の痛みや反跳痛(押して離した時の痛み)を確認します。
② 血液検査
白血球数や炎症反応(CRP)の上昇が見られることが多く、炎症の程度がわかります。
③ 超音波検査(エコー)
腹部超音波で虫垂の腫れや周囲の液体貯留を評価します。非侵襲で痛みがなく、診断に有用です。
④ CT検査
CTは虫垂炎の診断精度が高く、虫垂が太くなっている状態や膿瘍形成の有無などもわかります。特に診断が不確かな場合に有用です。
これらの検査結果を総合して、虫垂炎かどうか、あるいは他の病気(消化器疾患、腸閉塞など)との鑑別を行います。
5. 虫垂炎の治療〜手術とそれ以外〜
虫垂炎の治療は、炎症の程度や診断時の状態によって異なります。
① 手術療法(虫垂切除術)
虫垂炎の標準的な治療は虫垂切除術です。炎症を起こした虫垂を取り除くことで、再発を防ぎ、合併症を起こすリスクを減らします。近年は腹腔鏡手術が一般的で、傷が小さく、回復までの期間も比較的短いのが特徴です。特に東京新宿RENA CLINICでは単孔式腹腔鏡手術というもっとも傷跡の残らない手術を行っております。
② 抗生物質療法
軽症例や炎症の範囲が限定的な場合には、まず抗生物質で炎症を抑えて治療することもあります。経過を見ながら手術の必要性を判断します。
③ 保存的治療
手術がリスクを伴う高齢者や特別な事情がある方では、抗生物質+絶食・点滴で炎症をコントロールし、症状が落ち着くまで経過観察することもあります。
治療方針は年齢・症状・合併症リスクを総合して決められ、手術が必要と判断された場合は安全重視で進められます。放置すると虫垂が破裂し、腹膜炎を引き起こす可能性もあるため、自己判断せず早めの受診が重要です。
東京新宿RENA CLINICでは、虫垂炎が疑われる症状に対して迅速な評価と最適な治療方針をご提案しております。
6. まとめ:まずは早めの受診を
虫垂炎とは、虫垂という部位が細菌感染や閉塞によって炎症を起こす病気で、突然の右下腹部痛・吐き気・発熱などが特徴です。初期は胃腸炎や食あたりと誤解されることもありますが、放置すると破裂して腹膜炎などの重篤な状態になる可能性があります。腹痛が続く、動くと痛む、発熱があるなどの症状がある場合は、早めの医療機関受診が肝要です。東京新宿レナクリニックでは、虫垂炎の診断・検査・治療方針のご相談を承っていますので、安心してご相談ください。
参考文献
- Bickell NA et al. Appendicitis — New England Journal of Medicine
- Korner H et al. Acute appendicitis: CT findings and clinical correlation — Radiology
- Andersson RE. Meta‑analysis of the clinical and laboratory diagnosis of appendicitis — British Journal of Surgery
- Flum DR et al. Antibiotics vs appendectomy for appendicitis — JAMA Surgery
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。 青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、 日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2024年東京新宿RENA CLINIC開院。

