食中毒を防ぐ3つの基本習慣―自宅でできる安全対策とは?
「昨日の残り物、ちょっとニオうけど…まあ大丈夫でしょ!」
…なんて油断が、実は食中毒の入り口かも!?
夏はもちろん、実は冬でも油断禁物。
食中毒って、ちょっとしたことを気をつけるだけでグッと防げるんです。
今回は、「これだけは押さえておきたい!」という食中毒予防の3つの基本習慣をご紹介します。
家族も自分も、お腹のピンチから守りましょ!
目次
- 食中毒の原因と発生しやすい時期とは?
- 「つけない」:菌を食品に付けない工夫
- 「増やさない」:菌が繁殖しない保存のコツ
- 「やっつける」:加熱と殺菌で確実に防ぐ
- 食中毒のサインと受診の目安
- まとめ
1.食中毒の原因と発生しやすい時期とは?
食中毒とは、細菌やウイルス、有害な化学物質などが混入した飲食物を摂取することで、腹痛・嘔吐・下痢・発熱などの症状を引き起こす疾患です。
特に日本では、気温と湿度が高くなる梅雨〜夏場にかけて食中毒が急増します。
これらの条件が、細菌やウイルスの増殖に最適な環境を作り出すためです。
食中毒の原因として代表的なものには、カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(O157など)、ノロウイルスなどがあります。
これらは生肉、魚介類、卵、加熱不十分な食品、手指や調理器具の衛生不良などから感染します。
中でもカンピロバクターは日本国内の食中毒原因菌で最も多く、鶏肉の加熱不足による発症が多く見られます。
食中毒は誰でもかかる可能性があるため、家庭内での予防意識がとても重要です。
まずは「なぜ食中毒が起きるのか」を理解することから、予防は始まります。
2.「つけない」:菌を食品に付けない工夫
食中毒予防の第一原則は「つけない」、つまり病原菌を食材に付着させないことです。
そのためには、調理前後の手洗いが最も基本でありながら、非常に重要です。
とくに生肉や魚を触った手で、他の食品や食器に触れると、交差汚染が起きやすくなります。
キッチンで使うまな板・包丁・ボウルなどの調理器具も、生食材用と加熱済み食品用で分けて使用するのが理想です。
特に鶏肉を切ったあとのまな板は、他の食材に触れさせないよう注意が必要です。
また、買ってきた食品はすぐ冷蔵庫に入れ、室温に長時間放置しないことも大切です。
冷蔵庫に入れる際も、生肉や魚の汁が他の食品にかからないよう、ラップや密閉容器に入れて保管する工夫が必要です。
食品の取り扱いに少し意識を向けるだけで、家庭内での菌の広がりを大幅に抑えることができます。
3.「増やさない」:菌が繁殖しない保存のコツ
病原菌は「35〜40度前後」で最も増殖しやすいため、常温での放置は食中毒のリスクを高めます。
調理前後の食材・調理済み食品ともに、できるだけ速やかに冷蔵保存することが重要です。
買い物から帰ったら、冷蔵・冷凍が必要な食品はすぐに所定の場所に保存しましょう。
また、冷蔵庫は詰めすぎると冷気が行き渡らなくなり、全体の温度が上がってしまいます。
冷蔵庫の容量は約7割程度が理想です。
お弁当や作り置き料理も注意が必要です。特に夏場は、室温での保管時間が長くなると、あっという間に菌が増殖します。
保冷剤や保冷バッグを活用し、なるべく涼しい場所で保管することを心がけましょう。
また、残った料理は再加熱して保存するか、なるべく早く食べきるようにしましょう。
「とりあえず冷蔵庫に入れておけば大丈夫」という油断が、食中毒の落とし穴になることもあります。
4.「やっつける」:加熱と殺菌で確実に防ぐ
食中毒を防ぐうえで欠かせないのが「やっつける」=十分な加熱や殺菌処理です。
多くの細菌は75℃で1分以上の加熱によって死滅するとされています。
鶏肉・ひき肉・魚介類など、中心までしっかり火を通すことが基本です。
特に注意したいのが、「見た目が加熱されているようでも、中心部が生だった」というケース。
フライパンで炒める場合や電子レンジ調理では、加熱ムラが起きやすいため、中心温度を意識して調理することが大切です。
また、包丁・まな板・ふきん・スポンジなども雑菌が繁殖しやすい道具です。
これらは熱湯消毒や漂白剤による殺菌を定期的に行い、清潔を保ちましょう。
使ったらすぐ洗い、湿った状態で放置しないのもポイントです。
冷凍食品も「自然解凍NG」なものが多く、表示に従って必ず加熱してから食べましょう。
「中心まで火が通っているか」を基準にすれば、安全性が高まります。
5.食中毒のサインと受診の目安
万が一、急な下痢・腹痛・嘔吐・発熱といった症状が出た場合、それは食中毒のサインかもしれません。
特に、複数人が同時に似た症状を訴えている場合や、食後数時間〜1日以内で症状が現れた場合は、食中毒の可能性が高くなります。
軽度の食中毒であれば、水分補給をしながら安静にして回復を待つこともありますが、高熱・血便・強い脱水症状がある場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
市販の下痢止め薬を安易に使用すると、体内に残った毒素を排出できず、かえって症状を悪化させる場合もあるため注意が必要です。
高齢者・乳幼児・基礎疾患がある方は特に重症化しやすいため、症状が軽いうちから相談することが大切です。
自己判断を避け、正しい対処をすることが回復への近道になります。
まとめ:3つの基本を守って安全な食生活を
食中毒は、正しい知識と日々の小さな配慮で予防できる病気です。ポイントは「つけない・増やさない・やっつける」を中心に、保存・加熱・清潔の3つを徹底すること。
そして、体調の変化に気づいたら早めの受診が大切です。家庭内でもできる食中毒対策を、ぜひ今日から実践して、安全で健康的な食生活を送りましょう。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。 青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、 多くの病院、クリニックで消化器内視鏡・外科治療を習得後、
2024年東京新宿RENA CLINIC開院。