右下腹部の痛み〜原因と受診すべき医療機関について〜
「なんだか右下腹部が痛むけど、様子を見ていれば治るかな?」そんなふうに思ったことはありませんか?
実は、右下腹部の痛みにはさまざまな原因があり、中には早急な対応が必要なものも存在します。
この記事では、右下腹部の痛みの主な原因ついて詳しく解説します。ご自身やご家族の健康管理にお役立てください。
目次
1. 右下腹部の痛みとは?
2. 消化器系の疾患による痛み
3. 泌尿器系の疾患による痛み
4. 婦人科系の疾患による痛み
5. その他の原因と注意点
6. まとめ
1. 右下腹部の痛みとは?
右下腹部とは、おへその右下あたりの部位を指します。
この部分には小腸、大腸、虫垂、尿管、卵巣(女性)などが位置しており、痛みの原因は多岐にわたります。
痛みの性質や強さ、持続時間、伴う症状(発熱、吐き気、下痢など)によって、考えられる疾患が異なります。
痛みが続く場合や、症状が悪化する場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
2. 消化器系の疾患による痛み
右下腹部の痛みは、消化器系のさまざまな疾患によって引き起こされることがあります。
● 虫垂炎(盲腸炎)
右下腹部の痛みで最もよく知られている疾患が「虫垂炎(ちゅうすいえん)」です。
虫垂とは、大腸のはじまりにある小さな突起状の器官で、そこに炎症が起こると痛みを引き起こします。
初期はへその周囲に鈍い痛みを感じることが多く、次第に痛みが右下腹部へと移動していきます。
吐き気や嘔吐、微熱を伴うこともあり、進行すると虫垂が破れて腹膜炎を引き起こすリスクもあるため、早期の診断と手術が必要です。
東京新宿RENACLINICでは、超音波や血液検査などを活用して迅速な診断を行っています。
● 感染性腸炎(ウイルス性・細菌性)
ウイルスや細菌によって引き起こされる感染性腸炎も右下腹部の痛みの原因となります。
代表的な原因ウイルスにはノロウイルスやロタウイルスがあり、細菌性ではカンピロバクターやサルモネラなどがあります。
これらの病原体は汚染された水や食べ物を介して体内に入り、腸管に炎症を起こします。
症状としては下痢や腹痛、嘔吐、発熱などが挙げられ、腸の右側に炎症が強く出た場合に右下腹部が特に痛むことがあります。
重症化を防ぐためには、脱水予防と安静、必要に応じて整腸剤や抗生物質の使用が重要です。
● 憩室炎(大腸憩室炎)
大腸の壁に袋状のふくらみ(憩室)ができ、そこに炎症が起きた状態を「憩室炎」といいます。
一般的には左側にできやすいのですが、特に日本人では右側結腸に憩室が多く、右下腹部の痛みとして現れることがあります。
発熱や便秘、下痢などの症状を伴う場合が多く、軽症であれば抗生物質による治療で改善しますが、重症例では入院管理や場合によっては外科的処置が必要になります。
東京新宿RENACLINICでは、血液検査や画像検査、大腸内視鏡検査などにより、憩室炎の診断・重症度の評価を適切に行っています。
● 腸閉塞(イレウス)
腸の内容物の通過が妨げられる「腸閉塞」も、右下腹部を含む腹部全体の痛みの原因となることがあります。
術後の癒着、腫瘍、ヘルニアなどが原因で発症し、腹部膨満感、嘔吐、排便・排ガスの停止などの症状が見られます。
痛みは周期的に強くなったり、持続したりすることがあります。
腸のどの部分が閉塞しているかによって痛みの位置も変わり、特に回腸末端(右下腹部付近)での閉塞ではその部位に痛みが集中することがあります。
入院の上で絶食、点滴治療、場合によっては手術が必要となるケースもあります。
● 大腸がん(特に盲腸や上行結腸のがん)
右側大腸に発生する大腸がん(盲腸がんや上行結腸がん)も、進行すると右下腹部の不快感や鈍痛を引き起こします。
初期にはほとんど自覚症状がないため見過ごされやすいですが、進行すると便通異常(下痢・便秘の繰り返し)、血便、貧血、体重減少などを伴うことがあります。
大腸内視鏡検査による早期発見が重要であり、
東京新宿RENACLINICでは食道、胃、十二指腸、小腸、大腸などの消化器全体の診療をX線検査、腹部超音波検査、内視鏡検査などの必要な検査を実施し、
その結果に基づいて最適な治療を行っています。
3. 泌尿器系の疾患による痛み
右下腹部の痛みは、泌尿器系の疾患によっても引き起こされることがあります。
代表的なものとしては「尿路結石」が挙げられます。尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路に結石が形成されることで、尿の流れが妨げられ、激しい痛みを引き起こします。
右側の尿管に結石ができた場合、右下腹部に鋭い痛みを感じることがあります。
痛みは突然始まり、波のように強まったり弱まったりするのが特徴です。また、血尿や吐き気、嘔吐を伴うこともあります。
また、「尿路感染症」も右下腹部の痛みの原因となります。尿路感染症は、尿道から細菌が侵入し、膀胱や腎臓に感染が広がることで発症します。
膀胱炎では下腹部の不快感や排尿時の痛み、頻尿が見られ、腎盂腎炎では発熱や背中の痛み、吐き気を伴うことがあります。
右側の腎臓が感染した場合、右下腹部に痛みを感じることがあります。
泌尿器系の疾患は、腹痛以外にも排尿に関する症状(排尿痛・血尿・頻尿など)が手がかりになることが多いため、これらの症状がある場合は消化器疾患と区別しやすくなります。
右下腹部の痛みに加えて尿の異常や排尿時の違和感がある場合は、消化器内科だけでなく泌尿器科の受診も検討する必要があります。
特に血尿や激しい痛み、発熱を伴う場合には、速やかに泌尿器科を受診することが望ましいでしょう。
4. 婦人科系の疾患による痛み
女性の右下腹部の痛みには、婦人科系の疾患が関わっていることがあります。
代表的なのが「卵巣嚢腫」で、右側の卵巣に嚢腫ができると、圧迫感や鈍い痛みが右下腹部に現れます。
嚢腫がねじれる「卵巣茎捻転」になると、突然の激しい痛みを引き起こすことがあります。
また、「排卵痛」も排卵時に卵巣から卵子が出る刺激により、周期的に軽い右下腹部痛が出ることがあります。
「子宮内膜症」では子宮以外に子宮内膜様の組織ができ、月経のたびに痛みが強くなることがあります。
これらの痛みは月経周期と関連して起こることが多く、症状が繰り返される場合や突然の激しい痛みがある場合は、婦人科疾患の可能性も視野に入れて考える必要があります。
月経や排卵に関係するタイミングで痛みが出る方は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
5. その他の原因と注意点
右下腹部の痛みには、これまでに挙げた消化器系、泌尿器系、婦人科系以外にもさまざまな原因があります。
たとえば、「筋肉や骨格の異常」が原因となるケースもあります。
無理な姿勢やスポーツ、重い物を持ち上げる動作により腹部や腰の筋肉が緊張し、筋膜性の痛みや神経痛が生じることがあります。
また、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症によって関連痛として腹部に痛みを感じることもあります。
「帯状疱疹」も見落とされがちな原因のひとつです。
これは水ぼうそうウイルスが神経節に潜伏して再活性化することで発症し、発疹が出る前にピリピリとした痛みや違和感を感じることがあります。
右下腹部に限局した帯状の痛みが現れた場合は、発疹の出現を注意深く観察することが重要です。
さらに、「心因性の痛み」もあります。ストレスや不安、緊張が身体的な痛みとして現れることがあり、検査で異常が見つからない場合でも症状が続くことがあります。
こうしたケースでは、心理的なサポートや生活習慣の見直しが必要です。
また、小児や高齢者の右下腹部痛では、典型的な症状が現れにくいことがあり、注意が必要です。
特に高齢者では虫垂炎や腸閉塞が進行するまで症状が曖昧な場合があり、重症化する前の早期発見が大切です。
6. まとめ
右下腹部の痛みは、虫垂炎や尿路結石、卵巣疾患など多くの病気が原因となる可能性があり、時には命に関わる重篤な疾患が隠れていることもあります。
痛みの性質や経過、伴う症状を的確に把握し、自己判断せずに早めに医療機関を受診することが大切です。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。 青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、 多くの病院、クリニックで消化器内視鏡・外科治療を習得後、
2024年東京新宿RENA CLINIC開院。