おしりがかゆい原因は痔?“かゆみを伴う痔”の初期サインとケア方法

COLUMN コラム

おしりがかゆい原因は痔?“かゆみを伴う痔”の初期サインとケア方法

投稿日: 2025.09.15 更新日: 2025.09.22

「おしりがムズムズする」「夜になるとかゆみがひどくなる」「拭いたり薬を塗ったりするけど、かゆみがまた戻ってくる」なんて経験、ありませんか?

おしりのかゆみは恥ずかしいからとつい放置しがちですが、原因は痔(いぼ痔・裂肛など)の初期であることが多いのです。

痔が原因の場合、早めのケアでかゆみを抑え、痛みや出血など重い症状になるのを防ぐことができます。

皮膚炎や感染、洗いすぎ・蒸れなどが絡むと悪化しやすいのも特徴です。今回は、なぜおしりがかゆくなるのか、どう対処すればいいかを分かりやすく整理しましょう。

 

目次

  1. おしりのかゆみと痔:どんな関係があるか?
  2. 「痔」でおしりがかゆいときの特徴的なサイン
  3. 他の原因との見分け方:感染・皮膚炎など
  4. 自宅でできるケアと生活習慣の見直し
  5. 症状が続く・悪化する時の受診の目安

1. おしりのかゆみと痔:どんな関係があるか?

おしりのかゆみは、「痔」と深く結びついている症状の一つです。

痔とは、肛門周囲または直腸下部で静脈が腫れたり、皮膚・粘膜に傷がついたりする病気ですが、その中でも いぼ痔(痔核)裂肛(切れ痔) などは、かゆみを伴うことがよくあります。

 

例えば、いぼ痔では、痔核が肛門の内側または外側に飛び出したり戻ったりすることで、粘液が付着したり、下着にこすれたりします。

そうした摩擦や湿気、刺激で皮膚がかぶれたり炎症を起こしたりしてかゆみが生じるのです。

裂肛では、排便時に肛門の粘膜や肛門壁が裂け、その傷が治る過程でかゆみを感じることがあります。

 

痔が進行すると分泌液(粘液や血液)や便の残りなどが肛門周囲の皮膚に付着し、こすれやすく、蒸れやすくなります。

これが皮膚を刺激し、かゆみを引き起こす原因となります。

さらに、かゆいところを掻くことで皮膚が傷つき、さらに炎症が強まり、かゆみが増すという悪循環も起こりやすいです。

ただし、すべての「おしりのかゆみ」が痔によるものではありません。

痔以外にも皮膚炎・感染症・アレルギーなどさまざまな原因があり、それぞれ対処法が異なります。

ここで「痔 かゆい」がどういう意味か、自分のかゆみの性質を知ることが、適切なケアの第一歩となります。

2. 「痔」でおしりがかゆいときの特徴的なサイン

かゆみの出る部位・タイミング

  • 肛門の穴の周辺やそのすぐ外側。痔核が出ていたり戻ったりしている部分が下着や衣服にこすれると、かゆみが出やすい。
  • 排便・排便後、座ったり長時間動かないとき、夜間・入浴後など湿気・汗がたまるタイミングでかゆみが強くなることが多い。
  • 下着が濡れていたり、蒸れていたり、分泌液が付着していたりする状態でかゆくなる。

かゆみの性質

  • カサカサとした感じ・ヒリヒリ感を伴うことがある。特に皮膚が乾燥していたり、蒸れや摩擦があったりする部分で起こる。
  • ジトジト・べたつくかゆみ:粘液や便の残り、汗などで肛門周囲が濡れたような状態だとべたべた・ジトジトとしたかゆみが強くなる。
  • かゆみが続くと、掻いたりこすったりして皮膚に裂け目・びらん・湿疹ができることがあり、それがさらなるかゆみを呼ぶ悪循環になる。

伴う症状

  • 出血:かゆみだけでなく、軽い出血(拭いたときに出る・トイレットペーパーに付くなど)を伴うことがある。
  • 脱出感・痛み:痔核が出てくるタイプでは、痔核が肛門外に出たり、戻ったりすることがあり、戻すときや座ったり動いたりするときに違和感や軽い痛みを感じることも。
  • 分泌液・粘液が下着に付く:肛門内から粘液が出て、それが肌に触れてかゆみを引き起こすことがある。

これらのサインがある場合、「痔」が原因のかゆみである可能性が比較的高く、専門医の診察をおすすめします。

3. 他の原因との見分け方:感染・皮膚炎など

痔以外の主要な原因

  1. 肛門そうよう症(肛門掻痒症)
    痔のような明らかな病変はないけれど肛門がムズムズ・かゆいという状態。洗いすぎ・拭きすぎ・便通異常などが要因となり、皮膚がバリア機能を失ってかゆみを感じやすくなります。
  2. 皮膚炎・接触性皮膚炎
    石鹸・洗剤・下着の素材などが刺激となってかゆみを起こします。香料などが含まれるボディソープやトイレットペーパーなども要注意です。 
  3. 真菌・カビ感染(例:カンジダ症など)
    湿気が強く、蒸れや分泌物が残る状態で真菌が増殖しやすくなります。赤み・湿り気・白いカスのようなものが見られることがあります。 
  4. 寄生虫・虫卵症(例:ぎょう虫)
    特に夜間かゆみが強くなる、小児でよく見られる原因です。掻いて卵が広がることで症状が持続することがあります。
  5. その他の全身疾患・皮膚病
    アトピー性皮膚炎・乾癬・糖尿病の影響・肛門部の湿疹など。これらは、かゆみの背景にある病気として併存していることがあります。

見分け方のポイント

  • いつ・どこでかゆみが強くなるか(夜・排便後・湿気があるときなど)
  • 赤み・湿り気・分泌物・におい・白い汚れ・発疹などの皮膚所見の有無
  • 下着素材・洗浄方法・清潔の保ち方・拭き方などの生活習慣
  • 便通状態(便秘・下痢の有無、排便時の負荷など)
  • かゆみを掻いたりこすったりして悪化しているかどうか

必要な診察・検査

  • 痔核や裂肛が疑われる場合、肛門鏡を使って内部の確認
  • 視診・触診による肛門および周囲皮膚の状態確認
  • 分泌物や粘液などの有無の確認
  • 真菌検査や寄生虫検査などが必要な場合もある

東京新宿RENACLINICでは、痔か他の原因かを見極めるための検査を丁寧に行い、感染の有無・皮膚炎のタイプ・刺激物の関与などすべてを評価したうえで、最適な治療プランを提案しています。

4. 自宅でできるケアと生活習慣の見直し

おしりのかゆみを感じたとき、まず自分でできるケアがいくつかあります。早めに対策をすれば、症状の悪化を防ぎ快適さを保てることが多いです。

清潔の保ち方

  • 排便後はトイレットペーパーで強くこすらず、やさしくポンポンと拭き取る。拭き残しがないように注意する。湿った状態が残ると刺激となる。
  • 温水洗浄便座を使うなら、強すぎる洗浄水や長時間使用を避け、洗浄後はしっかり水分を拭き取ることで乾燥・蒸れを防ぐ。
  • 入浴時はぬるめのお湯でゆっくり湯船に浸かることが、血行を促してかゆみを和らげる。

衣服・素材の見直し

  • 綿素材の下着等、通気性・吸水性が良いものを選ぶ。化学繊維は蒸れや摩擦を招きやすい。
  • 下着はぴったりしすぎず、締め付けないデザインを選ぶ。汗や湿気がこもらないようにする。

食生活・排便習慣

  • 食物繊維を十分にとり、便をやわらかくする。硬い便はいきみ・傷の原因になりやすい。
  • 水分を多めに摂る。アルコールや刺激の強い食品・香辛料はかゆみを悪化させることがあるため控えめに。
  • 便意があったら我慢せずにすぐ排便する。長時間いきむことを避ける。

軟膏・保湿・切り傷ケア

  • 軟膏やクリームで保湿を行う。保湿成分やかゆみ止め成分を含む市販薬を使うことも一つの手段。
  • 炎症が強い場合、ステロイド外用薬を短期間使うことが検討されるが、使用時は医師の指導を仰ぐ。
  • 掻かないように気をつける。掻いたところはさらに炎症し、症状が長引くことがある。

これらのケアを実践することで、多くの場合かゆみが軽くなり、痔特有の不快感を抑えられます。生活習慣や清潔の工夫で再発防止にもつながります。

5. 症状が続く・悪化する時の受診の目安

以下のような症状がある場合は専門医に相談することをおすすめします。

注意すべき変化

  • かゆみが長引く(数週間以上)・夕方や夜に悪化するようなパターンが続く
  • 赤み・腫れ・出血・分泌液(粘液や膿など)を伴う
  • かゆい部分が硬くなってきてしこりのように感じる・痛みを伴うようになる
  • 排便時に強い痛みがある・肛門が裂けた感じがある(裂肛)
  • 他の症状が出る:体調不良・発熱・疲れやすさ・便の変化など

受診すべき科・診察内容

  • 肛門科・大腸肛門病専門医が適切。視診・触診、肛門鏡検査や皮膚の検査(真菌・アレルギーなど)を実施。
  • 適切な薬(外用薬・坐剤)、ケア方法の指導・生活習慣の見直しの提案。
  • 痔核や裂肛などが疑われる場合、進行度合いに応じて手術を検討するケースも㋯

まとめ

おしりのかゆみは「恥ずかしい」「軽度だから大丈夫」と見過ごされがちですが、痔の可能性があることも理解することが大切です。痔によるかゆみでは、排便後・下着での摩擦・湿気・粘液によるべたつきなどがきっかけになることが多く、かゆみが続く・赤みや出血を伴うときは症状が進んでいる可能性があります。他の原因(皮膚炎・感染症・アレルギーなど)と見分け、適切なケアを早めに行うことで、悪化を防ぐことができます。まずは清潔の保続・下着の素材・拭き方など生活習慣の見直しを行い、それでも改善しない場合は専門医に相談することが大切です。東京新宿レナクリニックでは、痔か他の原因かを見極めるための検査を丁寧に行い、感染の有無・皮膚炎のタイプ・刺激物の関与などすべてを評価したうえで、最適な治療プランを提案しています。

 

監修医師   大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。 青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、 日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2024年東京新宿RENA CLINIC開院。

 

参考文献リスト

  • Ai Z, Yuan D, Cai J, Dong R, Liu W, Zhou D et al. Mechanism of medical hemorrhoid gel in relieving pruritus ani via inhibiting the activation of JAK2/STAT3 pathway. Frontiers in Medicine.

  • Ortega A E, Delgadillo X et al. Idiopathic Pruritus Ani and Acute Perianal Dermatitis. Clinics in Colon and Rectal Surgery.

  • Leventoğlu S, Ege B, Menteş B B et al. Pruritus Ani. Turkish Journal of Colorectal Disease.

  • Pruritus Ani. Annals of The Royal College of Surgeons of England.

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