健康診断で“異常なし”でも胃カメラは必要?見逃されやすい初期胃癌のサインとは
投稿日: 2025.11.10 更新日: 2025.11.11
健康診断でバリウム検査の結果が「異常なし」だと、ホッと一安心しますよね。
でも、実は「異常なし=胃が健康」とは限らないのをご存じでしょうか?
バリウム検査ではわからない初期の病変や、ピロリ菌感染による慢性的な胃の変化は、見逃されることがあります。
特に40代以降では、胃癌や萎縮性胃炎のリスクが上がるため、「症状がないから」「健診で大丈夫だったから」と油断していると、発見が遅れることも。
今回は、「健康診断で異常がなくても胃カメラを受けた方がいい理由」や「見逃されやすいサイン」について、医師の視点からわかりやすく解説します。
目次
- 健康診断で「異常なし」でも安心できない理由
- 胃カメラでしか見つからない病変とは?
- 胃カメラを受けた方がいい人の特徴
- 検査のタイミングと受け方のポイント
- まとめ
1. 健康診断で「異常なし」でも安心できない理由
健康診断では、胃のチェックとして「バリウム検査(胃透視)」が一般的に行われます。
しかし、この検査は粘膜の表面をレントゲンで見る方法であり、平坦ながんやごく小さな病変は写りにくいのが現実です。
日本消化器がん検診学会のデータによると、バリウム検査での早期胃癌発見率は0.1%未満ですが、内視鏡検査ではその5〜10倍の頻度で早期発見されると報告されています。
また、胃癌のリスクは年齢とともに上がるだけでなく、ピロリ菌感染歴や家族歴、生活習慣によっても変化します。 「健康診断で異常がない=がんがない」ではなく、「見逃されている可能性もある」という意識が大切です。
特に以下のような人は注意が必要です
- 長年ピロリ菌感染がある/過去に除菌した
- 胃もたれや食欲不振が続く
- 家族に胃癌を患った方がいる
- 塩分の多い食生活や喫煙習慣がある
2. 胃カメラでしか見つからない病変とは?
胃カメラ(上部消化管内視鏡)は、胃の粘膜を直接観察できるため、早期胃癌や前がん病変の発見に非常に優れています。

胃カメラで見つけられる主な病変
- 平坦型・陥凹型の早期胃癌
- 萎縮性胃炎・腸上皮化生
- ピロリ菌感染の痕跡
- 胃潰瘍やびらん
- ポリープ
特に初期の胃癌は、痛みや違和感がほとんどなく、「軽い胃もたれ」「疲れやすい」程度の症状しか出ません。 また、ピロリ菌の感染が長く続くと、粘膜の萎縮や異形成が進み、将来的ながん化リスクが上がります。
胃カメラでは、怪しい部分を発見した際にその場で組織を採取(生検)し、確定診断が可能な点が大きなメリットです。
このため、定期的に内視鏡検査を行うことで、がんを「発症前」あるいは「初期のうちに」発見することができます。
3. 胃カメラを受けた方がいい人の特徴
胃カメラは全員が毎年受ける必要はありませんが、一定のリスクを持つ方には強くおすすめしています。
胃カメラを受けるべき人
- 健康診断でバリウム検査しか受けていない人
- ピロリ菌に感染している、または除菌後10年以上経過している人
- 胃痛・みぞおちの不快感・食欲低下が続く人
- 親族に胃癌の既往がある人
- 40歳以上で、まだ胃カメラを受けたことがない人
東京新宿RENACLINICでは、鎮静剤を使用した「眠っている間に終わる胃カメラ検査」を行っています。 検査が苦手な方や、過去に嘔吐反射でつらい思いをした方にも、安心して受けていただける環境を整えています。
また、ピロリ菌検査や胃粘膜の萎縮度評価も同時に実施でき、リスクの見える化が可能です。
4. 検査のタイミングと受け方のポイント
「症状がないときに検査を受けても意味がない」と思われがちですが、胃癌の多くは“症状がないうち”に見つけることで完治が目指せます。
実際、内視鏡的切除(ESDなど)で治療できる早期胃癌の5年生存率は98%以上と報告されています。
検査のおすすめタイミング
- 初回は40歳前後で1度は受ける
- ピロリ菌陽性または除菌済みの場合:1年に1回
- 胃炎・胃潰瘍の既往がある場合:医師の指示に応じて定期的に
また、内視鏡検査は午前中の空腹時に行うことが多く、鎮静剤を使用することで、ウトウトしている間に終了します。
検査後は休憩スペースで30分〜1時間ほど安静にし、そのまま日常生活に戻ることも可能です。
5. まとめ
健康診断で異常がなかったとしても、胃の病気が“完全にない”とは限りません。
特にバリウム検査では早期の胃癌やピロリ菌関連の変化を見逃す可能性があります。
症状がない今こそ、胃カメラでしっかり確認することが大切です。
東京新宿レナクリニックでは、最新の内視鏡システムを用いた精密な胃カメラ検査を行っており、鎮静下で快適に受けていただけます。
「健康診断で異常なし」と言われた方も、少しでも不安を感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
監修医師 大柄 貴寛
国立弘前大学医学部 卒業。 青森県立中央病院がん診療センター、国立がん研究センター東病院大腸骨盤外科など、 日本屈指の高度な専門施設、クリニックで消化器内視鏡・外科手術治療を習得後、2024年東京新宿RENA CLINIC開院。
参考文献
- Correa P et al. “Helicobacter pylori and gastric carcinogenesis: A model for cancer prevention.” Nature Reviews Cancer, 2013.
- Hamashima C. “Benefits and harms of endoscopic screening for gastric cancer.” World Journal of Gastroenterology, 2016.
- Choi IJ et al. “Screening for gastric cancer in Korea: evidence-based recommendations.” Gut and Liver, 2020.
- Yao K et al. “Magnifying endoscopy for diagnosing early gastric cancer.” Digestive Endoscopy, 2014.
- Miki K. “Gastric cancer screening using the serum pepsinogen test method.” Gastric Cancer, 2006.


